人間の成長スピード
できる若者は3年で辞める!―伸びる会社はできる人よりネクストリーダーを育てる
- 作者: 久野康成
- 出版社/メーカー: 出版文化社
- 発売日: 2007/03/28
- メディア: 単行本
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一度読んだことがあったが、改めて読みなおした。
全体的には昔と今とでは若者の仕事に求めるものやキャリアプランが変化している。その若者たちのために会社はどうあるべきか?どんな評価制度が今の若者に最適なのか?をわかりやすく経営者目線で描いている。
二度読むことにより、著者の考えが理解しやすくなった。
この本の中で私が深く考えたい点は社員の成長スピードについてだ。
本書でも説明されていたように人間には成長スピードがあり、それは年齢と共に変化する。
私も納得したが、入社して3年間はかなり速いスピード私たちは成長することができるが、5年後、10年後となると、社員の成長スピードは低下する。
一般的にこれは正しい考えといえるだろう。
では、なぜこのように成長スピードが鈍化していくのか?私たちにはその理由を考える必要がある。
まず、なぜ入社3年以内の社員は成長スピードは速いのかの理由を考える。
私は入社1年目だが、まず、初めて経験することが非常に多い。
つまり、たくさんの新しい経験を積むことができる
また、一年目のため自動的に周りは同期と上司だけの職場になる。
上司は私たちにたくさんのことを教えてくれ、私たちは存分にその学びを吸収できる。
さらに大切なことはその経験は自分にとってどんな経験なのかである。
会社に入社して初めの頃に経験することとは、つまり失敗である。
人は失敗を経験して成長するという言葉があるが、まさにこの言葉は正しい。
私は特に当てはまるが、たいていの人間は失敗を経験すると反省をする。
私はこの反省の度合いが成長速度を左右するのではないかと思う。
人にはそれぞれ性格が異なり、もしかしたら深く反省しなくても成長できる人はいるかもしれない。
しかし、私はたいていの人間が成長を経験するには深い反省を伴う必要があると思う。
私はとても心配症の性格のため、何をするにも比較的準備をするタイプの人間であるが、それでもよく失敗を経験してきた。私はこれまで失敗は良くないことしかないと考えていた。
私は失敗を肯定することはできないが、失敗を経験することにより、自分にプラスになることがあることは伝えたい。
会社に所属し、1社員として顧客に価値貢献をしていくうえで失敗することは非常によろしくないことである。顧客に迷惑がかかるからだ。
しかし、若いうちに失敗を経験することでそこから学ぶことがある。一度失敗したことにより、次は絶対に失敗してはいけないと自分にプレッシャーをかけたり、失敗しないためにはどうすればよいのか必死に考えることができる。
こうすることによって、その人間の将来何十年間の顧客に対する価値貢献の量は失敗を経験しない人間よりも多くなるだろう。
何故なら、その人はリスクを避け大きなことに挑戦せずに、無難な道を歩んできたからだ。そういった人間には顧客に大きな価値を与えることができない。
これが入社後数年間のうちに成長できる理由である。
では、逆になぜ入社10年後の社員の成長スピードは遅くなってしまうのか?
あくまでもこの仮定は一般的な考え方としてまず、頭に入れておいてほしい。
私たちはその理由と彼らの成長スピードを下げないための方法を考える必要がある。
まず1つ目のその理由。
会社で働き始めると、私たちは日々の業務に慣れる。それには良い面、悪い面がある。
良い面とは日々の業務になれることによって、業務のスピードや正確性など基本的な能力が向上する。
では、悪い面とは何なのか?
日々の業務になれることなんて純粋に良いことではないかと思う人もいるかもしれない。
しかし、その慣れという言葉を深く考えて見ると、一体どんなイメージが浮かび上がってくるのか?
慣れは麻痺を起こす。社歴の長い人間は会社になれ、ミスが少なくなると、自分に自信を持つ。ミスをしないのでこれはいたって普通の考え方だ。
しかし、その社員の行っていることがすべて正しいかどうかはその社員が決めることではなく、周りの人間が評価する。
つまり、一言でいえば社歴の長い人間は自分はできていると気がつかないうちに思い込んでいる。
自信を持つことは良いことだ。しかし、仮にその社員が自信を持ちに値しない言動や行動をとっているとすれば、それに対して他の社員は気づかせてあげなければならない。
この結果、新入社員と比較して、社歴の長い社員に指摘できる人間の絶対数が少ないため、社歴の長い社員は自分を客観視できる機会を失うのです。
また、社歴の長い社員の成長を阻害する要因としてもう一つ上げられることがある。
それは私は上司だから絶対に失敗してはいけないと思ってしまうことだ。
会社に入り、若いうちは何かに挑戦しても、失敗は許されていたことがあったかもしれない。しかし、その環境もいつしか変化し、先輩だから失敗は許されないというプレッシャーになる。
私はこれがすべて悪いと言いたいわけではない。物事には正の側面と負の側面があり、私たちはこの両面を見ながら行動をとっていかなければならないからである。
つまり、この場合、社歴の長い人間は失敗は許されないというプレッシャーと戦い続けなければならい負の側面があり、それによって行動が委縮するという成長阻害要因が存在するのだ。
つまり、社歴の長い人間は大きなチャレンジをできないことがもう一つの理由である。
さあ、やっと改善策について考えるときである。
社歴の長い社員はどうすれば成長スピードを維持できるか?
私は彼らは成長スピードを加速する新たな方法が必要であると考える。
1つは組織またはグループのリーダーになることである。
リーダーは新入社員よりも社歴の長い社員の方が適している。
その理由は他の社員からの信用と経験値の違いである。この2つはリーダーになるために必要な要素である。
このれに加え、リーダーになるためにはまだ多くのことを身に付けなければいけないことは多くあるが、この二つの要素を兼ね備えていることは彼らのアドバンテージである。
すなわち、社歴の長い社員には組織を成長させたい=自分の成長ではなく部下の成長にコミットする能力が求められる。
これは難しい概念である。自分の成長よりも部下の成長を意識するということは自分の成長はどうでもいいのかと思いがちだ。
私は部下の成長をより大事だと思える上司になることで、その指導力により磨きをかけることができる。リーダーにとって必要な要素である。
このように、私の言う成長とは定義づけが難しい。それはあなたが会社に何を求められているのかによってあなたがどう成長するかが変化するからである。
大企業に勤め、スキルに磨きをかけ、10年たつと、次にその社員がしなければいけないことは何であるか?
これが分かるか分からないかでその社員が出世できるかできないかが決まるだろう。
出世=成長と100%決めつけるわけではないが、出世というものは下に部下を持つことである。
これにはリーダーシップ能力が求められる。
従って、社歴の長い社員はこのリーダーシップ能力が強く求められるのである。
自分はできていると思うのではなく、自分は今会社から何を求められているのか?
にいち早く気づき、考え、行動できる社員こそ、半永久的に会社か求められ、かつ生長できる人間であると私は考えた。